私道掘削に関する法的規制と対応
私道掘削に関する法的規制と対応についてご紹介します。私道掘削とは、一般の所有者が利用する私道において、地下にあるパイプラインや配管を掘り起こすことを指します。このような作業は、インフラ整備や修繕のために必要な場合もありますが、所有者同士の協議や許可が必要とされる場合もあります。
私道掘削に関する法的規制は、地方自治体の条例や各種法律によって定められています。一般的には、事前に所有者の合意を得ることや、地方自治体の許可を受けることが求められます。また、施工時には一定の条件やルールを守る必要があります。
私道掘削に対する適切な対応策は、まず所有者同士の合意形成を図ることです。事前に話し合いや協議を行うことで、意見の調整や許可の取得が円滑に進められます。また、地方自治体の規制を遵守するために、必要な手続きや許可を取得することも重要です。さらに、施工時には周囲の環境や安全に配慮し、トラブルの予防を徹底することが大切です。
この私道掘削に関連して民法改正がされ、「共有私道ガイドライン」が改訂されました。
今回はこの改訂についてご説明いたします。
私道掘削とは?
私道掘削とは、一般の所有者が所有している私道を掘削する行為のことを指します。
私道は、一般的に複数の敷地にまたがって設置されており、複数の所有者が利用するため、管理や維持においては所有者間で協力する必要があります。
ライフラインの設置をしようとする場合、この私道の所有者に対し道路掘削を行う事への承諾書を得る必要があり、承諾書を取得できない場合は工事が行えないという不都合が生じます。
掘削承諾書を得る事ができない場合、不動産の査定金額にも少なからず影響を及ぼす事となります。
ライフライン設備の設置・使用権に関しての問題の所在
他人の土地や設備(導管等)を使用しなければライフラインを引き込むことができない土地の所有者は、解釈上相隣関係規定等の類推適用により、他人の土地への設備の設置や他人の設備の使用をすることができると解されています。つまり、その土地(私道に埋設されている)管を使用しなければ自身のライフラインを使用できない場合、当然に使用が可能であるという事です。
この件に関して下記のような問題点があります。
1.明文化されていない為、設備の設置・使用に応じてもらえない時や、所有者が所在不明である時などは対応が困難となる
2.また、この権利を行使する際の事前の通知の要否等のルールが不明確
3.土地・設備の使用に伴う償金の支払義務の有無などのルールも不明確 → 不当な承諾料を求められるケースもある
今回の改正内容
こういった問題点を踏まえ、下記のような改正が行われました。
1.ライフラインの設備の設置・使用権に関する規律の整備
■設備設置権(他の土地にライフラインの設備を設置する権利)の明確化
他の土地に設備を設置しなければ電気、ガス又は水道水の供給その他これらに類する継続的給付を受けることができない土地の所有者は、必要な範囲内で他の土地に設備を設置する権利を有する事を明文化
■設備使用権(他人が所有するライフラインの設備を使用する権利)の明確化
他人が所有する設備を使用しなければ電気、ガス又は水道水の供給その他これらに類する継続的給付を引き込むことができない土地の所有者は、必要な範囲内で他人の所有する設備を使用する権利を有する事を明文化
■場所・方法の限定
設備の設置・使用の場所・方法は、他の土地及び他人の設備の為に損害が最も少ないものに限定
2.事前通知の規律の整備
■他の土地の設備を設置し又は他人の設備を使用する土地の所有者は予めその目的・場所及び方法を他の土地・設備の所有者に通知しなければならない
〇通知の相手方がその目的・場所・方法に鑑みて設備設置使用権の行使に対する準備をするに足りる合理的な期間を置く必要(2週間~1か月目途)
〇他の土地に設備を設置する場合に、他の土地に所有者とは別の使用者(賃借人等)がいるときは使用者にも通知する必要
〇通知の相手方が不特定又は所在不明である場合にも例外なく通知が必要(簡易裁判所の公示による意思表示を活用)
3.償金・費用負担の規律の整備
■他の土地への設備設置権:土地の所有者は他の土地に設備を設置する際に次の損害が生じた場合には償金を支払う必要
〇設備設置工事の為に一時的に他の土地を使用する際に、当該土地の所有者・使用者に生じた損害 → 償金は一括払い(実損額)
〇設備の設置により土地が継続的に使用することができなくなることによって他の土地に生じた損害 → 償金は1年ごとの定期払が可能(設備設置部分の使用料相当額)
改訂によりどうなるか?
法律上の記載である為、わかりにくい部分も多々あったかと思いますが、要するに今まではライフラインの設置の為に道路掘削を行う際、道路所有者の承諾が必要でしたが、今後は道路使用者への通知で足りるという事になりました。
不動産を売却する際、分譲住宅の為に不動産会社へ売却する場合やその他の不動産売却の場合でも、掘削を特約条件に入れて契約するケースが多かったです。
これは、万一掘削承諾を得ることができない場合は白紙であるという条文であり、売主側からすると不確定要素の大きな要因の一つでした。
それが通知で足りるということになりましたので、売主への負担が大きく軽減されたとも言えます。
以上、道路掘削のお話でした。
株式会社光徳
住所:京都府京都市中京区聚楽廻東町5番地
電話番号:075-200-3893
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