外国人との売買契約について - 不動産売却のポイントを解説

query_builder 2023/09/02 査定


京都で不動産売買業務を行っていますと物件問い合わせや購入相談で外国人の方から反響を頂くケースがよくあります。

平成の時代は外国人といいましても中国人の方が多かったですが、現在は欧米や台湾等からの問い合わせが増えており、実際に契約する事もあります。


外国人と契約となると、当然ながら言葉の壁や日本と外国との文化の相違、法律用語の理解、送金の方法、取得後の管理に関して等、様々な問題点が出てきます。

今回はこういった外国人と不動産の売買を行う際の注意すべきポイントを解説したいと思います。

*今回は売主が日本人・買主が外国人という場合についてお話いたします。

外国人と不動産売買を行う際の注意点

外国人と不動産売買契約を行う際の注意点は以下のようになります。

①言語の問題:重要事項説明書や不動産売買契約書は基本的に日本語で作成します。内容は専門的であり、日常会話で出てこない文言も多々あります。そういった書類の説明にあたり、通訳をどうするかという点

②売買契約の手続きの問題:一般的には売主・買主がお会いし、面前で契約手続きを行いますが帰国されて遠隔地での手続きをする場合どのように執り行うかという点

③送金の問題:日本の銀行口座をお持ちの場合はタイムラグがほぼありませんが、他国の銀行口座から日本の銀行口座に送金する場合時間がかかってしまいます。契約締結及び支払いの時期がずれてしまう点

④登記手続きと代金送金の問題:③とも重なりますが、売買代金全額を送金いただかないと登記名義変更手続きができない為、どのようにするかという点

⑤税金納付の問題:不動産購入後にかかる税金(不動産取得税・固定資産税等)の支払いをどうするかという点

この5点について以降でお話いたします。




①言語の問題

日本で不動産を購入したい外国人の方はほぼ全員が日本語を理解・話す事ができません。その為、物件の案内や費用の説明・契約等の流れに関してすべて外国語で行う必要があります。他社の取り扱いは判りませんが、弊社の場合は通訳を紹介しております。

弊社のビジネスパートナーで日本の古民家を中心に海外向けに販売物件を紹介している方がおられます。

当方に外国人の購入希望者が来られた場合、案内のメール打ち合わせや案内・費用の説明・契約の説明等すべてその方に立ち合いいただいております。

業者によっては、買主が通訳を用意してくださいというケースもあります。

②売買契約の手続きの問題

日本人同士の売買契約の場合、対面での契約が一般的です。

外国人の場合、物件の内覧は現地で行うが契約自体は自国に戻っておられ対面での契約が難しいケースが多いです。この場合、売買契約書・重要事項説明書を買主の国へ送付し、リモートにて契約をするという形もしくは電子契約にて行うことも可能です。


郵送でのやり取りはどうしても時間がかかってしまいますし、早く売却したい売主にとっては手間がかかる為ハードルが高くなってしまいます。

しかしながら昨今不動産売買でも電子契約が徐々に広がりつつあります。押印の手間を省き、電子メールでのやりとりの為、契約書に貼付する印紙代を節約できるというメリットがあります。また、契約書・重説の押印もメールにて承認印を押すことで有効となりますし、郵送と比べ格段に手続きが早く行うことができます。

契約の手続きについてはこういった電子契約を取り入れる事でタイムラグを極力減らすことが可能です。


電子契約を行う場合、「事前に今回の取引を電子契約で行う」旨の承諾及びその契約で使用するメールアドレスを事前に明確化しておく必要があります。

これは売主・買主双方に承諾してもらう必要があります。


契約内容の理解につきましては、事前に買主へメールを送り可能であればリーガルチェックを行ってもらう事をお勧めします。

日本と外国では不動産売買に関する商習慣や法律が違いますし、問題が無いかどうかを買主側で確認・納得してもらったうえで契約を締結する方が後々の問題となりにくい為です。



③送金の問題

売買契約を締結する際、通常は同時に手付金として売買代金の1割相当額をお支払いいただいております。契約締結の為の押印を行い、手付金を支払っていただいて売買契約が成立するという事です。

外国人が購入する場合、この手付金が契約締結の時点で振り込まれていないという事になります。重要事項説明書・売買契約書の内容をリモートで説明し、電子契約の場合は承認印を押して頂いた後に送金手続きをされる為です。国内の銀行同士でしたら当日着金確認も可能ですが、海外送金の場合は振り込まれる金融機関のチェックもありますので、一般的に1週間~2週間程度時間がかかってしまいます。

着金は待つしか手立てがありませんが、売主が少しでも早く確認したい場合は契約締結書類を振込先金融機関に持ち込み、入金される旨を通知しておくことで確認作業が少し早くなります。

万一振込されない場合のペナルティも契約書に明記しておく必要があります。

「~月~日迄に振込されない場合は、契約解除となることに同意する。」や「振込されない場合の解除のペナルティ金は~円です」といった感じの文言かなと思います。

④登記手続きと代金送金の問題

登記手続きに関しては買主が日本人の場合住民票が必要となりますが、外国人の場合は住民票という制度が無い国もあります。

必要書類に関してはその国によってかわりますので事前に確認が必要です。(例えばアメリカの場合は「宣誓供述書」というものです。

登記は残代金の入金が確認できた後に行います。海外送金はどうしてもこの日に着金するという保証が無い為です。

実務としては、登記申請書類にサイン・宣誓供述書等の登記の為に必要とするものを事前に司法書士へ送付し、その後送金、確認でき次第司法書士が登記手続きを行うという形になります。

物件に抵当権等がついている場合、売主側で事前に抹消しておくことが最善ですが売買代金によって返済されることがほとんどです。手続き的にはやはり入金を確認した後に抹消手続き・名義変更手続きとなります。

買主には代金の支払いと登記名義の変更の間にタイムラグが生じてしまうことを十分に理解いただく必要があります。こういったリスクについては売主も理解しておくべきで、極力スムーズに取引ができるように売主・買主双方動くように心がけましょう。



⑤税金納付の問題

不動産を取得した後、数か月後に不動産取得税の納付書が届きます。また固定資産税の支払い義務も買主である外国人に課せられます。

日本国内に在住する場合は問題ありませんが、買主が自国にいたままの場合、取得税等の税金関係の支払いの為その物件に関して納税管理人を指名する必要があります。納税管理人は日本に在住している者でなくてはなりません。

こちらについては海外居住者の連絡先提供の義務化が施行されます。以下内容です。

■不動産を所有する者が海外居住者の場合、国内における連絡先となる者の氏名もしくは名称等の申告と登記が必要となる。

■連絡先として第三者を指定する際には以下の要件を満たす必要がある。

 その第三者の承諾がある

 その第三者が国内に住所を有する

不動産を購入したが、そのまま放置され管理が誰かもわからないとなると、その不動産及び周辺の方にも迷惑が及ぶ事があります。

こういった事が無いように外国人が購入された場合は必ずその管理人を指定するようにします。


最後に

以上が外国人との売買契約について注意すべき点の説明となります。

日本人同士での契約と相違する点が多々ありますので、ご不安な方は専門家の方にご相談ください。

株式会社光徳も外国人との売買は対応しております。

何かございましたらお気軽にお問合せください。

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株式会社光徳

住所:京都府京都市中京区聚楽廻東町5番地

電話番号:075-200-3893

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