不動産の相続放棄の手続きと管理義務を解説!民法改正と必要書類・登記義務の注意点

query_builder 2026/05/09
著者:株式会社光徳
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相続した不動産の「管理」や「放棄」の手続きには、【3か月】という厳格な熟慮期間が定められています。近年の民法改正や相続登記義務化の施行により、これまで以上に迅速かつ正確な対応が求められるようになりました。「手続きがうまく進まず、余計な固定資産税や維持費が発生してしまうのでは…」と不安を感じている方も少なくありません。

 

不動産の相続放棄は、単に「いらない」と意思表示するだけで終わるものではありません。相続財産の範囲や管理義務、手続きの期限、必要な書類、さらに複数の相続人との関係性まで、細かなルールが存在しています。実際、相続放棄後であっても「現に占有」している場合は税金や修繕費などの負担が発生するケースは多く、空き家の維持費が年間で大きな負担になることもあります。

 

「こんなに複雑なら、どこから手を付ければいいのか分からない…」と感じるのは当然です。しかし、正しい知識と手順を知っておけば、損失やトラブルを未然に防ぐことが可能です。

 

この記事では、近年の法改正後のルールや注意点を踏まえ、不動産相続放棄の全体像と実務上のポイントを解説します。最後まで読むことで、ご自身の状況に合った最善の選択肢と、行動プランが見えてくるはずです。

 

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不動産相続放棄の法的基礎と民法改正の影響

不動産相続放棄は、相続財産全体について「一切受け取らない」と家庭裁判所に申述する制度です。近年の民法改正によって、放棄後も一定期間、不動産の管理義務が明確化されました。特に空き家や土地の管理責任に関する点が強化されており、放棄後のトラブルや負担を避けたい場合は、これらの内容を十分に理解しておく必要があります。

 

主な変更点や注意点を整理すると、次の通りです。

 

項目 改正前 改正後
管理義務の範囲 現に占有の場合のみ 占有していなくても管理義務発生
管理期間 放棄申述から国庫帰属まで 家庭裁判所が管理人選任まで
罰則 不明確 違反時に過料規定あり

 

このような法改正により、不動産相続放棄を選択する場合の責任やリスクが従来より明確になっています。

 

相続放棄とは何か:不動産を含む財産全体の放棄制度

相続放棄は、被相続人から受け継ぐすべての遺産(財産・不動産・負債など)を一括して放棄する法的手続きです。家庭裁判所への申述書類提出により、申述が受理されると相続人としての地位を失います。この制度は、借金や不要な不動産などの負担から解放されたい場合に有効です。

 

放棄申述の期限は、相続開始を知った日から3ヶ月以内です。期限を過ぎると、相続放棄は原則認められません。また、申述後は原則として撤回ができないため、判断には慎重さが求められます。

 

相続放棄の対象範囲と部分放棄が不可である理由

相続放棄は「一部の財産だけ」ではなく、相続財産全体を対象としています。不動産や借金だけ、または現金だけを選んで放棄・承継することはできません。これは、遺産分割における不公平やトラブルを防ぐために設けられている民法上の原則です。

 

放棄の可否 内容
全財産放棄 可能:全ての資産と負債を引き受けない
一部放棄 不可:不動産のみ、負債のみ放棄はできない

 

このルールによって、「借金だけ放棄したい」「家だけ放棄したい」といったケースは認められません。

 

相続放棄と土地の国庫帰属制度の違い

相続放棄は、相続人としての地位自体を放棄するための手続きです。一方で、最近新設された「土地の国庫帰属制度」は、相続した土地について不要の場合に条件を満たせば国に引き取ってもらえる仕組みです。

 

制度名 内容
相続放棄 相続人としての地位をすべて放棄。全財産・負債が対象
土地の国庫帰属制度 相続した土地のみを国庫に帰属。一定の要件・審査・費用あり

 

相続放棄はすべてを放棄する制度、国庫帰属は土地のみを手放す制度であり、両者の併用や違いを理解しておくことが大切です。

 

相続放棄が必要となるケースと判断のポイント

相続放棄が検討される主なケースは、被相続人に多額の借金がある場合や、空き家・老朽不動産など管理負担が大きい場合です。相続人自身や関係者とトラブルになる前に、放棄のメリット・デメリットを整理しておきましょう。

 

以下のリストを参考に、相続放棄が適切かどうかを判断すると良いでしょう。

 

  • 被相続人に多額の負債がある
  • 不動産の管理・維持が難しい
  • 空き家や老朽化した建物で固定資産税が重い
  • 相続人間で遺産分割トラブルが予想される

 

負債(借金)がある場合と遺産全体のバランス判断

負債が遺産全体の価値を上回る場合、相続放棄は借金の返済義務から解放される有効な手段です。逆に、不動産や資産が負債より多い場合は、放棄せずに遺産分割や売却も検討できます。

 

ケース 放棄のメリット 注意点
負債超過 借金返済義務を負わない プラスの遺産も放棄となる
資産>負債 財産を取得できる 負債も承継する必要あり

 

判断に迷う場合は、専門家へ早めに相談し、資産・負債のバランスを正確に把握しておくことがおすすめです。

 

空き家・古い建物の相続と放棄のメリット・デメリット

空き家や老朽化した建物を相続すると、固定資産税や管理費、修繕義務などの負担が発生します。放棄することで維持管理や将来的なトラブルを回避できますが、遺産分割協議が必要な場合や、他の相続人に負担が移ることも考慮しましょう。

 

空き家・古い建物相続のポイント

 

  • 管理責任や固定資産税の負担を避けたい場合は放棄も選択肢
  • 放棄後も管理義務が一時的に発生することに注意
  • 全員放棄で最終的に国庫帰属となる

 

放棄の可否や管理責任の範囲は、法改正により厳格になっているため、慎重な判断が必要です。

 

不動産相続放棄の手続きフロー:3ヶ月の熟慮期間と必要書類

相続放棄手続きの全体スケジュール:期限を守る大切さ

不動産の相続放棄を行う場合、相続開始を知った日から3ヶ月以内の「熟慮期間」内に手続きを進める必要があります。この期限を過ぎると、原則として一切の放棄が認められなくなります。相続放棄手続きは以下の流れで行われます。

 

  1. 相続財産の調査(不動産、預貯金、借金など)
  2. 必要書類の収集
  3. 家庭裁判所への相続放棄申述
  4. 裁判所からの照会書への回答
  5. 受理通知書および証明書の受領

 

重要ポイント

 

  • 3ヶ月の期限を厳守
  • 書類不備や遅延がトラブルの原因となるため、早めの行動が不可欠です

 

熟慮期間の起算点と期限延長申立の手続き

熟慮期間は「被相続人が亡くなったことを知った日」から起算されます。多くの場合、死亡日が基準ですが、被相続人の存在や死亡を後日知った場合は、その日からカウントします。やむを得ない事情(財産の全容が不明など)がある場合は、家庭裁判所に期限延長の申立てが可能です。延長申立は、延長理由を記載した申立書や証拠資料を添付して行います。

 

強調ポイント

 

  • 期限延長には明確な理由と証拠が必要
  • 申立ては早めに行うことが認められやすくなるコツです

 

期限切れ後の相続放棄が認められるケース

原則として期限を過ぎた後の相続放棄は認められませんが、相続人が「事故のために相続の開始があったことを知らなかった場合」等、例外的に認められることがあります。例えば、被相続人と疎遠で死亡を知らなかった場合や、遺産の存在を後日知った場合などです。こうしたケースでは、家庭裁判所に事情を説明し、相続放棄申述が受理される可能性があります。

 

チェックポイント

 

  • 知らなかったことの立証が必要
  • 証拠となる資料(通知書・手紙など)の提出も重要

 

相続放棄申述に必要な書類と取得方法

相続放棄には複数の書類が必要となります。主な書類は以下の通りです。各書類の取得先やポイントも確認しておきましょう。

 

書類名 主な取得先 ポイント
相続放棄申述書 家庭裁判所HP ダウンロード可・自筆記入
被相続人の死亡記載戸籍 市区町村役場 出生~死亡まで全て必要
申述人の戸籍謄本 本人本籍地の役所 発行から3ヶ月以内のもの
住民票除票・戸籍附票 被相続人住所地の役所 住民票除票は死亡届後取得可能
印鑑証明書 本人住所地の役所 有効期限に注意

 

被相続人の死亡記載戸籍と申述人の戸籍謄本の取得

被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本が必要です。申述人の戸籍謄本も合わせて用意します。取得は本籍地の市区町村役場で行い、郵送請求やコンビニ交付が可能な自治体も増えています。発行には日数がかかることもあるため、早めの準備を心掛けましょう。

 

リスト

 

  • 被相続人:出生から死亡までの戸籍すべて
  • 申述人:最新の戸籍謄本

 

住民票除票・印鑑証明・申述書の作成ポイント

住民票除票は被相続人の最終住所地の役所で取得します。印鑑証明は申述人が自宅近くの役所で取得可能です。相続放棄申述書は家庭裁判所の公式HPからダウンロードでき、必ず自筆で記入します。内容不備や誤記入があると手続きが遅れるため、慎重に記入しましょう。

 

コツ

 

  • 書類は原本提出が原則
  • 取得日数を逆算してスケジュールを組むことが大切

 

家庭裁判所への申述と照会書への対応

家庭裁判所に必要書類を提出すると、数日から1週間程度で照会書が郵送されます。照会書には、相続放棄の意思確認や財産の処分有無などについて記載が求められます。回答内容に一貫性があることが重要です。

 

流れ

 

  1. 必要書類一式を家庭裁判所に提出
  2. 照会書が届く
  3. 指定期限までに正確に回答し返送

 

照会書の内容と正確な回答の重要性

照会書は、相続放棄の真意確認や相続財産の処分状況を確認するための重要な書類です。虚偽や不明瞭な回答は、申述却下につながるリスクがあるため、事実に基づいて記入してください。迷った場合は、専門家に相談することも有効です。

 

注意点

 

  • 虚偽記載は絶対に避ける
  • 回答期限を守る

 

申述受理通知書と証明書の発行手続き

すべての審査が完了すると、家庭裁判所から申述受理通知書が届きます。必要に応じて、申述受理証明書を申請すれば、金融機関や不動産登記などで利用できます。証明書の交付申請は、家庭裁判所に所定の用紙と手数料を添えて行います。

 

ポイント

 

  • 受理通知書は大切に保管しておく
  • 証明書発行は必要なタイミングで申請可能

 

民法改正による管理義務から保存義務への変更

改正前後の管理義務の内容と変化

民法改正により、不動産の相続放棄に伴う管理義務が大きく見直されました。改正前は、相続放棄をしても「管理義務」が継続し、相続人は不動産を現実に占有していなくても、遠方にある土地や空き家の管理責任を負う必要がありました。これにより、実際に利用していない不動産の維持管理や固定資産税の負担が発生し、相続人にとって大きな負担となっていました。

 

改正前の問題点:占有していない遠隔地不動産の過度な負担

改正前は、相続放棄後も実際に占有していない不動産であっても管理義務が残るため、たとえば遠方にある空き家や土地の草刈り、修繕、税金納付といった手間や費用が相続人に発生していました。特に、複数の相続人が全員放棄した場合でも管理責任が曖昧なまま残り、トラブルや請求の原因となることが多かったのが現状です。

 

改正後の「現に占有」要件の導入

民法の改正によって、「現に占有している場合のみ保存義務(管理義務)」が発生するルールとなりました。これにより、物理的にその不動産を利用していない相続人は管理義務を免れることができ、実際に不動産を使用・管理している人だけが義務を負うことになりました。この改正によって、不要なトラブルや過大な負担が大きく軽減されています。

 

保存義務の具体的内容とその範囲

民法改正後、相続放棄した場合でも「現に占有」していれば保存義務が発生します。保存義務とは、自己の財産と同じ注意をもって財産を維持することを求められるものです。保存義務の具体的な内容は以下のとおりです。

 

自己の財産におけるのと同一の注意での保存

保存義務を負う場合、相続人は自分の所有物と同じレベルで不動産を管理しなければなりません。たとえば、建物の雨漏り防止や設備の簡易修繕、不法侵入の防止など最低限のメンテナンスが必要となります。

 

  • 建物の簡易修繕や安全管理
  • 施錠や防犯対策
  • ゴミや不法投棄物の整理

 

修繕や納税、不法占拠対応の実務判断

保存義務の範囲については、実務的な判断が重要となります。

 

  • 修繕:台風や災害によって損傷が発生した場合、応急的な対応が求められる
  • 固定資産税納付:現に占有している場合、納税義務が発生する
  • 不法占拠対応:第三者による不法占拠があった場合、適切な対応が必要となる

 

これらの義務も、現に占有していない場合には原則として発生しません。

 

保存義務の終了時期:他の相続人や清算人への引き渡し

保存義務は永続的に続くものではなく、一定の条件を満たすことで終了します。

 

相続人間での遺産分割協議と財産引き渡し

他の相続人が現れた場合や遺産分割協議が成立した場合には、相続財産を新たな相続人に引き渡すことで保存義務は終了します。協議書の作成や不動産登記の変更手続きを行うことで、責任の所在が明確になります。

 

相続財産清算人選任と清算人への引き渡し

相続放棄をした相続人がいなくなった場合など、家庭裁判所に申し立てて「相続財産清算人」が選任されることがあります。清算人が選ばれたら、その人物へ不動産の管理・保存を引き渡すことで放棄した相続人の義務は完全に終了します。

 

義務の発生/終了条件 内容
現に占有 保存義務が発生(修繕・税金・管理)
他の相続人へ引き渡し 協議・登記で義務終了
清算人へ引き渡し 裁判所手続き後に義務終了

 

このように、法改正により相続放棄後の不動産管理に関する負担や責任が見直され、適切な手続きを踏むことで無用なトラブルや費用負担を避けられるようになりました。

 

相続放棄後の不動産登記義務化と施行の影響

不動産の相続による登記が義務化されました。これにより、相続人は不動産を相続した場合、原則3年以内に登記手続きを行うことが求められます。この法改正は、放置された空き家や所有者不明土地の増加対策として導入され、相続放棄した場合も注意が必要です。もし登記義務を怠った場合は過料などの金銭的な罰則も設けられ、放棄したつもりでも手続きを怠ると責任が生じるケースがあります。不動産の相続放棄を検討する際には、登記義務の最新動向を十分に把握することが重要です。

 

登記義務化の概要

相続による登記義務化により、相続人は不動産の取得を知った日から3年以内に登記を申請しなければなりません。これにより、従来のように相続登記をしないまま不動産を放置することができなくなりました。義務化の背景には、所有者不明土地や空き家問題の深刻化があり、社会全体で管理責任を明確化する必要が高まったことが挙げられます。

 

登記義務の対象者と対象となる不動産

登記義務の対象者は、相続や遺贈によって不動産を取得した全ての人です。土地や建物を問わず、所有権移転の登記義務が課されます。登記義務が発生するのは相続人だけでなく、遺贈で取得した人も含まれます。対象となる不動産は、宅地や住宅、農地、山林などあらゆる種類です。相続による取得があった場合は、必ず登記が必要となります。

 

登記期限と罰則

特に重要なポイントは、相続や遺贈で不動産を取得した日から3年以内に登記を完了させる必要があることです。登記しなかった場合、10万円以下の過料が科されることもあります。登記期限を管理することは今後の不動産管理や売却にも大きく影響するため、放置は大きなリスクになります。期限内の登記手続きが確実に求められる時代となりました。

 

相続放棄者と登記義務の関係

相続放棄をした場合、放棄者は原則として不動産の相続権を失います。しかし、実際の登記や管理義務にどのような影響が生じるかを正しく把握することが重要です。

 

放棄前と放棄後の登記の違い

相続放棄を家庭裁判所に申述する前は、法定相続人として登記義務が発生する場合があります。放棄が正式に受理されると、その人は初めから相続人でなかったとみなされ、登記義務も消失します。ただし、放棄の手続きが完了するまでに登記申請が必要となることもあるため、申述の時期や登記の進め方には注意が必要です。

 

次順位相続人の登記義務への影響

相続放棄が発生した場合、次順位の相続人(たとえば兄弟姉妹や甥姪など)に登記義務が移ります。全員が放棄した場合は、国庫帰属の手続きが進みますが、途中で放棄しない相続人がいればその人が登記申請の義務を負うことになります。このため、家族間で放棄の意思や手続き状況をしっかり共有することが重要です。

 

相続登記義務化と国庫帰属制度との関係

相続登記義務化と同時に「相続土地国庫帰属制度」も活用が広がっています。この制度は、全員が相続放棄した土地や不要な不動産を国に引き取ってもらう仕組みです。登記義務化によって不動産を放置しておくことが難しくなり、積極的に国庫帰属制度を利用するケースが増えています。手続きには申請や審査、一定の負担金が必要ですが、管理責任や固定資産税から解放されるメリットがあります。不動産を相続放棄する場合は、登記義務や国庫帰属制度の活用も検討しておきましょう。

 

相続放棄後に発生する固定資産税と維持費用

相続放棄と固定資産税納付義務の関係

不動産を相続放棄した場合、原則として固定資産税の納付義務は相続人から外れます。しかし、法改正により相続放棄後も一定期間は不動産の管理責任が発生する点に注意が必要です。特に、相続放棄を申述した後から新たな相続人や管理人が決まるまでの間は、不動産の保存や管理を目的とした義務が残る場合があります。

 

この期間の固定資産税納付義務は、下記のように整理できます。

 

状況 納税義務者 注意点
相続放棄前 相続人 固定資産税通知が届く
相続放棄申述後 次順位相続人・管理人 選任まで管理責任あり
全員放棄・国庫帰属まで 相続財産管理人 裁判所が選任

 

相続放棄をしても、管理義務が生じる間は一時的に納税通知が届くことがあるため、放置せず対応しましょう。

 

現に占有している不動産の固定資産税

相続放棄後でも、現にその不動産に住み続けたり、利用していたりする場合は、実質的に固定資産税の負担者とみなされやすいです。自治体からは従来通り納税通知が届くことが多く、納付を怠ると延滞金や差押えのリスクがあります。

 

  • 占有を続けている場合、名義変更が完了するまで納税義務が継続
  • 実態として利用しているなら納税協力が求められる
  • 固定資産税の未納は、不動産の差押えや売却の障害となる

 

このような場面では、速やかに相続財産管理人の選任申立てを行い、税負担の所在を明確にすることが重要です。

 

占有していない遠隔地不動産と固定資産税

相続放棄をしており、かつ実際に占有もしていない遠隔地の不動産については、原則として納税義務は後順位相続人や管理人へ移ります。しかし、管理人が決まるまで納税通知が届く場合があります。その際、無視すると督促や法的措置を受けるリスクもあるため、自治体に相続放棄を証明する書類(申述受理証明書など)を提出し、状況を説明しましょう。

 

  • 遠隔地で利用していない場合も、管理義務期間中は一時的な請求がある
  • 放棄証明を提出することで納税義務の停止や移管が進む
  • 書類提出後も管理人選任までは自治体から連絡が続く場合がある

 

この手続きを怠ると、不要な費用負担やトラブルのもとになるため注意が必要です。

 

管理費用と保存費用の実例

不動産を相続放棄しても、管理や保存にかかる費用を一時的に負担する義務が発生します。放棄前後の違いや、実際に必要となる費用を具体的に確認しましょう。

 

費用項目 金額目安 内容例
固定資産税 年間数万円~数十万円 評価額などにより異なる
草刈り・清掃 年間1~3万円 空き地・空き家管理
修繕費 年間0~10万円 屋根・外壁等の応急措置
火災保険料 年間1~2万円 管理期間の保全目的

 

これらの費用は、相続放棄後も管理義務期間中に発生するため、実際には相続人が一時的に立て替えるケースが多くなります。

 

空き家の維持にかかる年間費用

空き家の管理では、放棄後も最低限の維持管理費が発生します。主な費用例は以下の通りです。

 

  • 固定資産税:年間3万~10万円程度(物件の評価や立地による)
  • 草刈りや除草作業:年2~3回で1回5,000円~1万円
  • 通風・清掃:管理業者委託で1回5,000円程度
  • 簡易修繕(雨漏り、窓割れなど):数千円~数万円

 

空き家の管理を怠ると、近隣トラブルや行政指導の対象となり、結果的に費用負担が増加する可能性があります。

 

建物の危険化と解体費用の発生

建物が老朽化し危険家屋と判断されると、地方自治体から解体命令が出されることがあります。解体費用は50万円~200万円程度が一般的で、放棄後も管理人が決まるまでは費用負担のリスクがあります。

 

  • 危険家屋認定で強制解体命令
  • 解体費用の請求が相続放棄者や管理人に届くケースあり
  • 放棄後、速やかに管理人選任や自治体への相談が重要

 

早めの対応と専門家への相談が、不要な負担を防ぐポイントとなります。

 

相続放棄における複数相続人や兄弟間のトラブル事例と対策

相続人全員が放棄した場合の不動産の扱い

相続人全員が不動産を含む相続財産の放棄を選択した場合、不動産は最終的に国庫へ帰属されます。相続放棄をしても、次順位の相続人(兄弟や甥姪など)が自動的に相続権を引き継ぐことになるため、誰も相続しない場合に限り国庫帰属となります。その間、不動産の管理や費用負担が発生することがあり、手続きが長引くと管理責任が残る点に注意が必要です。特に空き家や土地の場合、固定資産税や管理義務が継続するため、放置せず早めに清算手続きを進めることが重要です。

 

相続財産清算人の選任と清算手続き

全員が相続放棄した場合、家庭裁判所により相続財産清算人の選任申立てが必要となるケースがあります。相続財産清算人は、相続財産を管理し、債権者への支払いなどの清算業務を行います。清算手続きでは、残された不動産や資産を売却して得た資金で税金や未払い債務を支払います。申立てには必要書類の提出や費用がかかるため、早めの準備と専門家への相談がポイントとなります。

 

項目 内容
選任申立て先 家庭裁判所
必要書類 戸籍謄本、財産目録など
清算人の役割 財産管理・売却・債務弁済

 

国庫帰属までの期間と管理責任

国庫帰属が確定するまでの期間は、相続人全員の放棄後に相続財産管理人や清算人が選任され、手続き完了まで数ヶ月から1年程度かかることもあります。この間も不動産の管理責任が残り、適切な維持管理や税金の支払いが必要です。管理を怠ると近隣トラブルや行政指導につながるため、管理責任の範囲を正確に把握し、必要な対応を行うことが大切です。

 

兄弟姉妹が相続放棄する場合のトラブル事例

一人だけが放棄した場合と相続権の移行

兄弟姉妹のうち一人だけが相続放棄をすると、その人の相続分が他の兄弟や次順位相続人に移ります。放棄した人には管理義務が一時的に発生する場合もあるため、放棄後も完全に責任がなくなるわけではありません。相続権の移行により、他の相続人に予期せぬ負担が生じることがあり、事前に家族で話し合い、放棄の意向を共有しておくことがトラブル防止につながります。

 

兄弟間での負担分配と紛争予防

兄弟間で相続放棄や分配をめぐるトラブルは多く見られます。たとえば、不動産の修繕費用や固定資産税の分担、空き家の管理責任などが争点となることがあります。紛争を予防するためには、遺産分割協議書を作成し、各人の負担や役割を明確にすることが有効です。専門家を交えた協議や第三者の立ち会いも円滑な手続きのために役立ちます。

 

トラブル事例 対策
修繕費用の分担でもめる 遺産分割協議書の作成
管理責任の押し付け合い 事前の合意と専門家相談

 

複数の不動産がある場合の対応

共有名義不動産と相続放棄

複数の不動産が共有名義となっている場合、相続放棄をした人の持分は、他の相続人や次順位の相続人に移ることになります。共有者が一部でも相続放棄を選択すると、残る共有者が抱える管理負担や権利関係がより複雑化するため、放棄を検討する前に全体の資産状況を十分に把握し、他の共有者としっかりと調整することが大切です。不動産ごとに管理責任や名義変更の要否が異なるため、各物件ごとに対応策を考え、親族間で納得できる合意形成を目指しましょう。

 

  • 不動産が複数ある場合は、物件ごとに管理者や今後の方針を事前に決めておくことが望ましい
  • 共有名義の解消や分割協議を早めに進めることで、将来のトラブルを未然に防ぎやすくなります

 

不動産の相続放棄はケースごとに最適な対応策が異なります。正確な手順と最新の法律をもとに、早めの行動と専門家の力を活用することをおすすめします。

 

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